JR東日本のサービスで、「どこかにビューーン！」というものがある。
一定のJREポイントを支払って申し込むと「ランダムに選ばれた行先（JR東日本エリアの新幹線駅）への往復乗車券・特急券」が無料で手に入るというものだ。
4,000～6,000ポイント(4,000円～6,000円の金券に相当)を支払い、例えば「東京～新青森」が当たれば、通常料金が往復35,000円程度として、金券分を差し引いてもざっくり3万円程度割引かれる計算になり、とてもお得だ。
ただ、目的地がランダムというのが曲者だ。出発日は申し込み日の20日後以内からしか選べず、申し込みから行先決定まで数日かかることを考えると、日帰りでない限りは、出発まであと15日程度の頃に宿泊地を探しはじめねばならず、時期によっては手配ができないか、割高なものしか手配できないリスクがある。
また、出発、到着の希望時間帯も6:00～9:59、10:00～12:59…のように、おおむね3～4時間幅があり、融通が利かなそうなのも地味にいやらしい。例えば東京発なら、東京駅近隣に住んでいなければ6時台出発は困難だ。到着時刻も17時台と19時台ではかなり印象が違う。
さらに、JR東日本も愚かではないから、放っておいても売れる区間を抽選の景品にはしないと思われ、ランダムといっても完全なランダムではなく、言葉が悪いが「売れ残りそうな」区間が候補となってくることも予想できる。
といったウィークポイントを差し置いても、期待金額1万円以上はありそう(推測)なこのサービスは魅力的だ。私は鉄道オタクではないものの、鉄道で旅することは大好きだ。正直、行先はともかく新幹線に乗れるだけでも嬉しい。
また、私は「水曜どうでしょう」世代なので（※：ワタダは多感な少年期を北海道で過ごしました）。「行先がわからない旅」というものに、無性に憧れているところがあり、「自分では選ばないような、誰かが選んだ行先」を目指して、何があるんだろうといろいろ調べたり、新たな発見をすることにワクワク感を感じるのだ。
といったわけで、私のJREポイントが結構溜まってきたこともあり、今回初めて「どこかにビュー―ン！」を使ってみようと思った次第で、その旅の諸々を何回かに分けて書いていきたいと思う。
周囲に聞いてみても、JREポイントを貯めている人はいても「どこかにビューーン！」を知っている人は皆無だった。もっとも、普通の人の感覚としては「いくら安くても、行先がランダムなんて…ねーよ。」といったところかもしれない。
かくいう私自身も、上記のようなウィークポイントがあるなかで、不安がないわけではない。とはいえ、もともとJREポイント自体も、所詮あぶく銭のようなものだ。普通の旅は「払ったカネの分しっかり楽しもう」と気負ってしまうところだが、「失ったところで痛みナシ」という軽い気持ちで臨む旅も、また良いのではないか…と思うのである。
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