環島したときのこと〜その③:原チャリ社会に圧倒される~

本記事は、自転車で台湾を一蹴したときの旅行記シリーズ「環島したときのこと」の一部です。以前の記事を読みたい方はこちらからどうぞ。

本記事は、筆者が2016年12月25日から2017年1月5日にかけて台湾旅行をした際の体験をもとに、思い出しながら書いたものです。当時の写真やメモ、SNS記事などを参考にしながら書いております。ご了承ください。

2016/12/25:台湾2日目。いよいよ漕ぎ出す。

通勤ラッシュは戦場

翌日。早速自転車での第一日を開始。朝は通勤ラッシュなのか、原チャリと車の往来が激しい。原チャリは本当に、日本ではあり得ない密度でウジャウジャといる。しかも車も含めて、誰も交通ルールを守っているように見えず、そもそもルールがあるのかもよくわからない(まあ、あるのだろうが)。信号はやんわりとは守っているようにも見えるが、赤信号になるとさすがに、止まろうという意思を多少感じるくらいが、ほとんどの時間は誰も止まっていない。クラクションが常時鳴っていてうるさいし、みんな停止線を大幅にはみ出して交差点にでてきているので、日本の感覚だと、いつ衝突が起こってもおかしくないなと思う。ただ、みんなそんな環境に慣れっこなのか、アクロバティックに辛うじて躱すので、私が見ている間には、事故は見当たらなかった。が、地面には、つい最近壊れたミラーの破片のようなものがゴロゴロしているので、きっと事故も日常茶飯時なんだろうなと思う。

環台1号と檳榔の洗礼

 市街地を出るまでは、通路が立体的なのもあり少し迷った。環台1号に乗りようやく、方向性が見えた。市街地を歩いているとき、そこかしこに赤褐色の嘔吐物のようなものが撒き散らされていて、ギョッとした。台湾でも、飲兵衛がそこかしこに吐き散らすようなことがあったりするのかなと勝手に思っていたが、あとで、ネットで調べてみると、どうやらそれは、檳榔(ビンロウ)という噛みタバコの一種を、噛み捨てたあとらしいことが分かった。結局私自身はこの檳榔を嗜むことはなかったが、台湾滞在中、この檳榔売り場や檳榔売りのセクシーな服のお姉さんや、ビンロウを買う人。檳榔やを意味する看板など、ビンロウに遭遇する機会が多々あった。環台1号を進んでいるとそこかしこに、ガラス張りのプレハブみたいな小屋に、セクシーな服のお姉さんが常駐していて、信号待ちの車に、缶入りのビンロウを売る光景は、台湾では日常的っぽいが、初めて見たときは「何なの?これ?」と思った。今まで全く知らなかったのは、台湾の暗部として忌まわしく避けるべきものとして扱われているからだろうか?

初日で稼ぐ作戦。吉と出るか凶と出るか?

 初日は、台湾の真ん中、台中まで一気に200キロを漕ぐ作戦だ。初日からいきなり飛ばすのは危険かとも思ったが、おそらく日程後半(台湾東側)に登り基調のキツいコースが入ってくると予想されるので、できれば平坦な道が多い序盤(台湾西側)で貯金を作っておきたいという気持ちがあったのだ。過去にアイアンマンディスタンスのトライアスロンで、1日に200キロ近くを走行したことはなくはないが、200キロ超えということはなかったので、しかも交通法規もよくわからない外国でということもあり、一抹の不安もあった。

原チャリ社会が続く

 そのあとも、桃園を過ぎるくらいまでは、原チャリと追いかけっこ。頻繁に赤信号に捕まるし、あまり快適なサイクリングとは言えない区間がつづました。新竹あたりから、環台1号という看板が出現し、機慢車(原チャリや自転車)専用レーンができて俄然走りやすくなりました。信号も止まらなくていい奴(黄点滅)になり20キロ時以上は出せるようになりました。
途中、水分補給にコンビニに寄ったりすると、地元民らしき人に、気さくに話しかけられたり。「環台?(台湾一周ですか?)」とか聞かれたけど、なんと答えていいかわからず、もどかしかったです。
 環台1号は確かに自転車には走りやすく、明かりもあるので、自衛用のライトくらいあれば、夜の走行もあまり問題ないかもしれません。ただ、環台1号から若干外れる台中を目的地にしたのは作戦としてはイマイチでした。12号というのに入ると、機慢車禁止が増え、ああやっぱり車社会だ、ということを思い出さされます。

目的地に15キロ…というところでパンクする

 200キロという道のりで、もうとっくに日は暮れて、町明かりを遠めにとぼとぼと自転車をこいでいたところ、残り15キロでまさかのパンク。幸い修理キットは持ち合わせていたものの、暗闇での修理は初体験。なかなか落ち着いてできるものではないですね。一度なおったと思ったら、リム打ちで再度パンク。一本余計にチューブを失った上に、CO2ボンベの噴射口も壊してしまいました。歩けるような距離ではなかったので、何とか直さなければ、旅の継続はおろか、今日一日の声明も危うい…(台湾は、予防接種を受けているのかいないのかわからない野犬がうろついていたりするので怖いのです。)

 何とかその日の宿泊場所に到達するも、長時間プレッシャーにさらされていたので、あまり食欲がわかず、そのままバタンキュー。今日も、夜市散策などもする余力はありませんでした。