環島した時のこと〜その②〜

環島1日目。

 桃園国際空港に降り立つ。国際空港といっても、英語をあまり見かけないし、規模も大きくもない。時差もないので、あんまりインターナショナル感はない。なんだかちょっとした地方空港に来た気分。自転車を無事にピックアップし、まずは空港脱出を試みる。とりあえず、本日宿泊予定であった台北のホテルに向かうため、バスのチケットを求める。立に占と書いて駅を意味するらしい。この知識はこのあと台湾生活中ずっと役立ち続ける。

 バスに乗ると、空港周辺こそちょっとした都市を形成しているようであったが、高速に乗ると程なく素朴な農村風景に出会う。都市と都市の間は原風景とも言えるような良い田舎を見ることができるようだ。一方で遠くには、東京にもないんじゃないかというくらい高いビル(マンション?)が見え、なんだか歪である。やがて台北駅に着く。

 台北駅の表向きのデザインは、よく共産圏で見る「仰々しく書かれたスローガンのような看板」が掲げられ、いかにも中国という感じだ。台湾ナンバーワンの駅というだけあり、局所的には新宿駅のように感じなくもない。いや、新宿の方が全然デカいかな。101タワーの前では、人だかりができている。何かのゲームのプロモーションイベントのようだ。人だかりを尻目に、101タワーへ。今日から10日余りの情報収集源たるWiFiルータをレンタルするために。何階かは忘れてしまったが、かなり高層フロアに行ったと思う。しかし、

途中ほとんど人気を感じず、さながら廃墟タワー。たまたまビジネスアワーだったからか、それともテナントが全然いないのか?こんな経営では潰れそうだな。などと取り止めもないことを考えながら、レンタル屋に到着。何かレンタルカウンターのようなしっかりとしたものを想像していたが、6畳一間のバックヤードのようなところで、おばさんが1人お弁当を食べていた。食事中のところ申し訳ないが、レンタル予約していた旨を(カタコトの英語で)話すと、合点したようで、奥の部屋に入り、危機をかしてくれた。

 機器を借りてようやくネットに繋がることができ一安心。改めて本日のお宿を検索し、到着。〇〇飯店。ホテルなのに飯店というのは結構多いが、なぜなのか?こちらもカタコトの日本語でチェックイン。自転車を入れていたバッグは大荷物なので、数日預かって欲しいと頼むが、ダメと言われる。このホテルは、帰りの前日にも宿泊の予定だったので、そこまででいいじゃんと少し交渉したところ、OKと言われる。よかった。しばらくカタコトの英語で話していたが、こちらが日本人であることに気づくと、最後は日本語になった。スマンネ。英語下手で。。。

 ホテルは素泊まりなので、周辺で晩飯屋を探す。初めて言葉が通じない異国の地での飯屋。緊張する。いかにも街中華(?)という感じの店に入る。メニューは漢字ばかりでよくわからない。こんな時のために、台湾語でわかる食べ物選び方みたいな本で勉強した知識を使う。なんか色々工夫した結果、ちぢれ麺の醤油ラーメンのようなものを注文できた。初めての注文の達成感が良いスパイスとなり美味かった。

 まだちょっと早いのだが、ホテルで休む。テレビを見ると、結構日本のテレビ番組の再放送がやっている。色々やっていたが、覚えているところでは、ほこたてがやっていた。台湾人もこういうの楽しんでみるんだな。よく見ていると、日本の番組でも中国語字幕があるやつとないやつがある。へえすごい。日本語番組も字幕なしで見れる人が一定数いるんだなと感心。

 翌日。早速自転車での第一日を開始。朝は通勤ラッシュなのか、原チャリと車の往来が激しい。原チャリは本当に、日本では信じられない数がウジャウジャとおり、交通ルールもよくわからない。信号はやんわりとは守っているけど、多少の赤信号は「ギリ進んで良い」という感覚だ。クラクションはうるさいし、停止時もどう見ても交差点にはみ出している。何度となく交差点で衝突が起きそうだけど辛うじてかわす見たいのが、日常的に起こっている。こんなのでよく事故らないなぁと思っていたが、最近壊れたミラーの破片のようなものがゴロゴロしているので、きっとしょっちゅう事故あるんだろうなと思う。

市街地を出るまでは、通路が立体的なのもあり少し迷った。環台1号に乗りようやく、方向性が見えた。市街地を歩いているとき、そこかしこに赤褐色の嘔吐物のようなものが撒き散らされていて、ギョッとした。台湾でも、飲兵衛がそこかしこに吐き散らすようなことがあったりするのかなと勝手に思っていたが、あとで、ネットで調べてみると、どうやらそれは、檳榔(ビンロウ)という噛みタバコの一種を、噛み捨てたあとらしいことが分かった。結局私自身はこの檳榔を嗜むことはなかったが、台湾滞在中、この檳榔売り場や檳榔売りのオネーサン。ビンロウを買う人。檳榔やを意味する看板など、ビンロウに遭遇する機会が多々あった。こんなに日常的なのに、今まで全く知らなかったのは、台湾の暗部として忌まわしく避けるべきものとして扱われているからだろうか?

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